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紅葉特集

気象予報士が教える、紅葉と天気のあれこれ

いであ株式会社 岩本裕之

なぜ黄葉するの?

 葉にはクロロフィルという緑色の色素とカロチノイドという黄色い色素が含まれていて、春~夏にかけてはクロロフィルの量が上回るため、緑色に見えます。このクロロフィルは光合成を行うことで、栄養となるデンプンをせっせとつくっています。ところが秋になり、気温が下がり日が短くなると、葉緑素が分解され減少するため、いままで目立たなかったカロチノイドという黄色い色素が浮き出てきます。イチョウやポプラの葉が黄色になる仕組みです。

落葉との関係?

 秋になり、気温が低く日が短くなると、光合成による栄養分が作りづらくなり、葉の機能や働きが弱まってきます。そうなると葉の付け根部分に「離層と呼ばれるコルク質の層がつくられ水や栄養分の行き来が遮断されます。そのため光合成で生産された糖(デンプン)は葉に留まることになります。この糖から赤い色素であるアントシアニンが生成されることで、カエデやケヤキなどが紅葉します。それとともに、多くの落葉樹はやがて離層のところで切り離されて葉を落とします。

紅葉前線は上から下へ

 春の「桜前線」とは対照的に、秋の「紅葉前線」は南下します。日本では、北へ行くほど、また標高が高くなるほど気温は低くなる(標高100m毎に気温は0.6℃ずつ低下する)ので、紅葉は秋の訪れの早い北から南へ、また高い山から低地へと移っていきます。平地ではだいたい10月に北海道から始まり、12月にかけて2ヶ月かかって南下していきます。紅葉が山頂から山麓へ下りるスピードは、大体1日50メートルほどと言われます。

紅葉の色づきを左右する天気

 一般的には秋の昼夜の気温差が大きく、日中の天気がよいほど色づきがよくなると言われます。紅葉に必要な糖分を葉に蓄積するには十分な日照による光合成が必要なのです。1日の最低気温が8℃以下になると紅葉が始まり、5℃以下になると一気に色づきが進みます。

良い材料
昼夜の大きな寒暖差
十分な日照
適度な湿度
悪い材料
日照不足
大雨や大風
極端な乾燥

今年の紅葉は?

 そこで、2014年は当たり年or外れ年か?今年の色づきはどうなのかというと、夏の期間は関東・東北で晴天が多くなったため日照時間の点でいうと期待できそうである一方、西日本は天候不順で多雨となりました。適度な雨という観点から行くと、西日本は降り過ぎで東日本は少なすぎる点が不安材料です。そして今シーズン接近多めの台風は、大雨や風により葉が傷んでしまうため、これもあまりよくない材料となります。しかし重要なのは10~11月にかけてのメリハリのある天気と気温差(朝晩の冷え込み)であることも事実で、これらの挽回にかかっているともいえます。山間部を動向を参考にすると概ね平年並みの色づきは期待できそうですが、果たして…