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季節の草花と生き物

夏至の時期の草花と生き物

夏至げし:新暦6月21日頃

「雨で当然、晴れたら嬉しい日」の夏至から始まる梅雨の季節。風をともなわずしとしとと降り続くのは「女梅雨」、カラリと陽が差したかと思えばざあざあと降り続くのは「男梅雨」。雷まじりの豪雨と男梅雨が続くうちに晴れ間が増えて梅雨が明け、夏本番を迎えます。
二十四節気:夏至について

季節の草花

木槿むくげ

秋の季語ですが、花が咲くのは6月下旬から。古名は朝貌(あさがお)で、朝に咲き夕方にはしぼんで散る「一朝花」とされてきましたが、実際は同じ花が2~3日 咲きます。折れた枝が根付いて増えるほど生命力が強く、いつ剪定してもいつ増やしてもよい手間いらずの花木です。奈良時代に中国から渡来して以来親しまれ、次々と開く花が日本の夏から秋を彩ります。中心に赤の入った「日の丸」をはじめ、紋様と花びらにちなんだ美しい名前を持つたくさんの園芸種があります。
花言葉:信念、尊敬、柔和 など

木槿

梔子くちなし

雨の中で匂いたつ白い花と濡れて艶を増す明るい緑色の葉の美しさは、和 歌や俳句で讃えられてきた日本の梅雨の風物詩。金木犀・沈丁花と並んで「三香木」と呼ばれ、古来からその強く甘い香りが日本人に愛されてきました。「蛇ぐ らいしか食べないような実がなる木」の意味の「クチナワナシ」がなまって「クチナシ」となったという説もあるほどまずい実がなります。実は山梔子(さんし し)と呼ばれ、黄疸などに用いられる生薬や、食品や衣類などに使われまる黄色の染料となります。
花言葉:私は幸せ者、至福、優雅、洗練、清潔 など

梔子

捩花ねじばな

日当たりの良い土手や野原にすっくりと一文字に伸びる緑の茎に螺旋状にくるくると咲く小さな桃色の花。古今集にも詠まれ、江戸時代の書物「花壇網目」や「花壇地錦抄」には広く愛され栽培されたことが記されています。古くはモジズリ(綟摺・文字摺)と呼ばれ「芯のまっすぐな人が恥ずかしがってもじもじしているようだから」という説は趣きがありますね。どうしてそうなるのかはまだわかっていませんが、花はよく見ると左巻きと右巻きがあり、その比率は五分五分です。途中で向きを変えているものもあります。菌類を必要とする「菌根」であるため、鉢植えでの栽培が大変難しい花です。
花言葉:思慕

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季節の生き物・鳥

6月の別名に蝉羽月(せみのはづき)がありますが、中国の夏至の次候は「蜩始鳴~セミ初めて鳴く」。日本でも他のセミよりもひとあし早くニイニイゼミが鳴き始めます。半夏の頃に雨もいとわず羽化して元気に鳴きだすので、別名は半夏虫(はんげのむし)。蝉の羽の色やその抜け殻のような透明感のある茶色を蝉の羽色(せみのはねいろ)と言います。蝉の羽のように薄い高価な夏の襲(かさね)にも、表を檜皮色・裏を青色で織って蝉の羽色を表現したものがあります。

ニイニイゼミ

雨や雷を呼ぶ天候神や水神、長寿・幸運・金運の神 やその使いとしてお馴染みの蛇は夏至の季語。梅雨時の夜にひっそりと命がけで脱皮します。梅雨の晴れ間の乾いた土に綺麗に残る抜け殻はとても珍しく、蛇そ のものであるのに動かないから怖くない。幼心を惹きつけてやまない宝物でしたね。本州の多くの地で見かけるのは青大将やシマヘビ。優しい姿のシマヘビは実 は気が荒いので、追い出そうとすると怒ります。人間がいるのがわかると自分で逃げていくので庭に入ってきても放っておいてあげましょう。

シマヘビ

キビタキ

日の出とともに「ピッコロロ、ピッコロロ」と高く美しくさえずる夏の渡り鳥。オスは鮮やかな黄色い胸と漆黒の羽を持ち、尾を上下に打ち鳴らしながら踊るように歌います。メスはウグイスのような薄めの暗緑色。大きな黒目が大変可愛らしい、表情豊かな鳥です。全国各地の日当たりの良い林で見られますが、下町の住居の隙間などに営巣してしまうことがよくあります。オオルリ、コマド リ、ミヤマホオジロとともに「和鳥四品」として愛玩されてきましたが、捕まえるのは一番簡単だったようです。

キビタキ

関連項目

参考文献