Column

季節の草花と生き物

芒種の時期の草花と生き物

芒種ぼうしゅ:新暦6月6日頃

朝は晴れた日も日中は湿り気を伴う曇りとなる日が続く「芒種」。曇りの日に挟まって雨降る日が連なってきたなと感じた頃に梅雨入りを迎えます。しとしと降る雨、ざあざあ降る雨、それらは恵みとなり、ぽっかりと青空がのぞいた日の光が草花をグングンと伸ばし咲かせます。
二十四節気:芒種について

季節の草花

紫陽花あじさい

梅雨を彩るアジサイは日本原産。西洋に愛でられ、逆輸入された品種は「西洋紫陽花」と言います。土のph度によって色が変わるのはご存じのとおりですが、厳密に言うとアルミニウムイオンがその鍵を握っています。西洋でピンク色に咲きほこっていた種も、日本に逆輸入すると青と紫の両方が感じられる紫陽花色に。綺麗に咲かせるには剪定しないのが一番で、ほったらかしでも毎日毎年、違う顔を見せてくれます。古来、その葉をトイレットペーパーとして使っていた地域には、シモクサやマタブリグサの別名があります。
花言葉:移り気

あじさい

桔梗ききょう

秋の七草であり万葉集にも「朝貌」として詠まれたキキョウも日本原産。根はサポニンを多く含むため、薬として重用されてきました。秋の花の代表格ですが、6月から咲き始め、紫・青・白・赤・桃色など多数の色で長い期間人々の目を楽しませてくれます。桔梗紋を家紋とする家は古くからあり、安倍晴明の結んだ五芒星は桔梗印と呼ばれます。和の歴史に根差した薄紫の「朝貌」は絶滅危惧種となりました。守り育て、いつの日にかまた「どこでも見られる花」としたいものです。
花言葉:誠実、従順、清楚、気品、やさしい愛情、変わらぬ愛、変わらぬ心 など

桔梗

石榴ざくろ

若いうちは赤かった葉が大きく緑に生い茂る中、明るい紅色の花が6月6日頃から咲きはじめます。その様子を11世紀の中国の詩人で政治家でもあった王安石が「万緑叢中一点紅 、人を動かす春色は須く多かるべからず」と詠んだことが「趣きの異なる秀でたもの」から転じて「男性の中にいる1人だけの美しい女性」を指すようになった「紅一点」の語源となったと言われています。ザクロの呼び名の所以は諸説ありますが、原産国イランの名産地ザグロブが訛ったもの…というのが一番楽しいですね。
花言葉:優美、(木)互いに思う、(花)成熟した美しさ、(実)結実、子孫繁栄、豊穣、など

ざくろ

夏椿なつつばき

白い一重の5弁の花。この時期から1ヵ月ほど楽しむことができ、ツバキ科の花独特のぽとりと落ちる散り際がなんとも素敵です。別名は「シャラノキ」。山に分け入った人が、白い木肌と優しげに咲く花の姿に「これが有名な沙羅双樹に違いない」と感嘆したことから…と言われています。日陰を好む落葉樹なので、ツバキ科ですが生垣には向きません。
花言葉:愛らしさ、愛らしい人、はかない美しさ など

夏椿

季節の生き物・鳥

蝸牛かたつむり

野菜ならなんでも食べるカタツムリは、今でも時々野菜について家庭へとやってきます。カタツムリがいるのは安心な育て方をした野菜である証拠です。少々野菜を分けてあげたら、自然に戻してあげるまでの少しの間、面倒をみてあげてください。やわらかな体は湿った状態でないと生きていけないのに殻には蓋がありません。粘膜を出して膜を張り、おとなしくしていたら、乾燥してきて辛い証拠。そっと霧を吹いてあげましょう。泳げないので水が多すぎるのはいけません。湿気のある日陰の草地に離してあげてください。

かたつむり

珊瑚さんご

海を彩る珊瑚はイキモノ。5月末~6月にかけて、満月の夜にいっせいに産卵します。その荘厳で美しいシーンを生で見られるのは、現代に生まれた醍醐味の1つと言えるでしょう。大自然の命の育みに「絶対」はないので、必ず見られるわけではありませんがダイビングショップや現地の旅行会社主催のツアーが毎年開催されています。

珊瑚

ホトトギス

白い胸の横に走る黒い縞、波紋にも矢羽紋にも見える白黒のはっきりとした尾の紋様…すっきりと美しい姿と優しい顔立ちが日本の自然によく似合うホトトギス。和歌や短歌に好んで詠まれ、信長には「鳴かぬなら鳴かせてみよう」と言わしめたと伝わるその声は「テッペンカケタカ」。昭和に入り「トウキョウトッキョトカキョク」とも言われましたね。和歌に詠まれ、杜鵑・時鳥・子規・不如帰・杜宇・蜀魂・田鵑など、漢字表記も多岐にわたる愛される鳥は、もう1つの愛される鳥ウグイスに托卵し、自分で子育てをすることはありません

ホトトギス

関連項目

参考文献