Column

夏特集

夜空に咲く大輪の花〜花火の撮影にチャレンジ!!

夏の風物詩といえば花火。
夜空を彩る花火に夏の暑さはどこかへ行ってしまいます。
でも、花火を見るだけではもったいない。
花火の写真も撮って夏を大いに楽しみましょう。

用意周到が成功のコツ

花火の撮影は夜景撮影と同様、スローシャッターで撮ることが多くなります。そのため、バッテリーの消耗が激しくなるので、フル充電は忘れずに。予備のバッテリーも準備しておきましょう。
レンズは、標準ズームレンズで撮影できます。望遠ズームレンズをお持ちの方は、こちらも持参しましょう。イメージカットに近い写真を撮ることができます。
また、花火の撮影に三脚は必須アイテムです。お手持ちのカメラ、レンズにあった三脚を用意してください。これから三脚を購入する方は、脚の径を見てください。ミラーレス一眼に2〜300mm程度のレンズなら、24mm前後のパイプ径を、一眼レフなら28mm前後のパイプ径が推奨です。また、雲台は花火撮影に限れば、自由雲台が使いやすいと思います。
カメラ以外で用意しておいた方がよいグッズは、カメラバッグ内を照らすLEDの懐中電灯ですね。そのほか、マイボトル(水分補給)とか、虫除けスプレー、雨具などがあると安心です。

カメラの設定から始めましょう

ミラーレス一眼や一眼レフをお持ちの方は、マニュアル露出モードで撮影した方が、花火の色をきちんと出すことができます。露出モードを『M』に設定して、絞りはF11〜22、シャッタースピードは4〜8秒、ISO感度は100〜200に設定してください。露出をオート(AE)で撮影すると、白トビが多くなって、白い花火ばかりになってしまいます。
ピントはAFでは合いにくいこともありますが、連続的に花火が打ち上がるようになると、AF(オートフォーカス)でピントを合わせることも可能になります。
コンデジやスマホでも花火モードで写すことはできますが、白トビ、ピント、シャッターチャンスを考えると、少なくてもミラーレス一眼がおすすめです。まだ、一眼を持っていないあなたは、これを機会にステップアップしてみてはいかがですか。

準備ができたら、いよいよ撮影です

花火撮影のコツは、花火が爆発する前にシャッターを切ることです。多くの方は、花火が爆発してからシャッターを切っているので、爆発点は写りませんし、そもそも、花火が開いて一番きれいな瞬間を逃しています。花火大会が始まった頃は、どのあたりから、どのくらいの高さに、どの程度の大きさの花が開くのかを見極めながら、シャッターを切りましょう。そのため、広角気味の画角から、風景的な写真を撮る感覚で始めるのがよいですね。

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花火撮影の基本を書き出すと、次のようになります。
①花火全体を画面内に写し止めることができるか…水平線が傾かないように注意
②爆発点を入れて撮ることができるか…シャッターを切るタイミングを図る
③白トビをさせないで撮ることができるか…絞りを絞る、ISO感度を下げる

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花火全体が写せるようになったら、ズームアップして画面いっぱいに花火を写してみましょう

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撮影になれてきたら、望遠ズームに変えてみましょう

基本の撮り方、3点をクリアしたら、ズームレンズを徐々に望遠側にして、花火の一部分を狙ってみましょう。慣れてくれば、標準ズームを望遠ズームに交換すれば、イメージ的な花火撮影が撮れるようになります。露出は風景的に撮るときと同じです。どこをどう切り取るかは個性の発揮しどころ。

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望遠ズームレンズに交換すれば、部分的な美しさを捉えることができます。花火の端や中心付近はどうなっているのか、いろいろ考えながら、レンズを向けてみてください。

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家庭花火も撮ってみましょう

花火の楽しみは大きな花火大会だけではありません。実は身近な花火、そう、家庭で楽しむ花火もあるのです。路地裏で、家族や友達と楽しむ花火も、花火大会にはないおもしろさがあります。いつでも簡単に撮影できる身近な花火も、ぜひ楽しんでみてください。

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家庭花火も引き、より、アップで狙うと分かりやすく、いろいろなパターンで撮ることができます。

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さあ、花火を撮りに行きましょう

これぞベストショットという写真が撮れたら、ぜひ彩時記に投稿してください。夏の風物詩〜日本の花火〜を世界中に伝えましょう。
でも、慌てずに。天気予報や開催状況を確認してから出掛けましょう。

Author Profile
藤城 一朗(フジシロ イチロウ)

出版社映像局を経てからフリーランス。
依頼撮影のほかは、雑誌等への寄稿、写真教室の講師など。
プライベートでは、植物を中心とした写真を鋭意撮影中。
公益社団法人 日本写真家協会会員
URL http://www.ichipon.net